ARBITRO MAGAZINE

SEIKO SUS Chronograph 7T27-7A40 (SCFR001)

 

Contents

SUSとは

セイコーのSUSというラインを知っているでしょうか。

1995年10月に発売されたセイコーの若者向けの時計です。

SUSは”Simple”と”Strong”の頭文字に数学の和集合である”U”を組み合わせた造語で端的に言えばSimple&Strongという意味ですね。

SUSの基本デザインポリシーは
①媚びないデザイン。
②「時を知る道具」としてのデザイン。
③Remix(温故知新)したデザイン。

対象はファッションやライフスタイルに「こだわり」を強く持つ18-22歳の男子大学生・専門学校生。

(セイコーカタログ 1998より引用)

コンセプト通りデザインは非常にシンプルなものが多く、ケースサイズも35mmや36mmと腕の細い人にもちょうど良いサイズ感です。

こちらのミリタリーデザインの3針モデルは2019年3月にnano・universe(ナノ・ユニバース)監修で復刻されました。

25年経過した現在、35mmは男女ともに違和感なく着けられるサイズのため、年齢や性別を問わない時計として販売されています。

今回紹介するクロノグラフ 7T27-7A40はそのSUSのTOOLシリーズとして販売された時計です。

ダイアルデザイン

かなりミリタリー調のダイアルデザインですね。

1940年代以前から存在した、レギュレーターと呼ばれる秒・分・時が全て独立したクロノグラフに近いデザインです。

7T27-7A40の中央の大きな円はデシマルメーターというもので、プロフェッショナルパイロット向けのメーターです。

1分(60秒)を10進法、100に分割して表示するメーターで移動した速度や距離をすぐに計算するための表示です。

ヴィンテージパイロットクロノグラフを意識した文字盤だと言えますね。

日付表示がさり気なく4時位置にあるのもポイントです。

ケース

ケースはステンレススティール、36mmというサイズはクロノグラフとしてはコンパクトに収まっています。

ラグ部分は縦にケース側面は横に、そしてベゼルと裏蓋は円周上のヘアラインがそれぞれ入った無骨な仕上げです。

ベゼルはスムースタイプのため、このコンパクトさが実現出来ています。

プッシュボタンは2時位置と10時位置のみにあり、シチズンやセイコーの「ツノクロノ」(英語圏ではBullheadと呼ばれています)のような見た目です。

ムーブメント

搭載しているのは7T27というクォーツムーブメントです。

この7T27ムーブメント、源流は7A28という機械です。

7A28の解説だけで大変な分量になるので今回は割愛しますが、1983年に発売された世界初のアナログクォーツクロノグラフです。

オメガと同じ名前のスピードマスターやジウジアーロデザインで販売されたものが有名ですね。

その7A28を搭載したクロノグラフは英国空軍に納入され、Royal Air Forceの略称であるRAFという名知られています。

ミリタリークロノグラフということで、特に海外で人気がありクォーツ時計としてはかなり高価な20万円近辺で取引されています。

後継の7T27を搭載した時計も同様に納入されており、こちらは第2世代を意味するRAF GEN2として10数万円で取引されているレアアイテムです。

メンテナンス

ヴィンテージクロノグラフは格好良いものが多く、欲しくなるのですがやはりメンテナンスがネックになるかと思います。

7A28ムーブメントは既に部品の在庫、供給が無いためメーカーでも修理不可ですが、7T27はまだ修理が可能です。

機械式のヴィンテージクロノグラフを修理してくれるお店が少ないのは部品の入手難易度が高く、作業が非常に多いので手間に合わないというのが主な理由です。

通常のオーバーホールで50,000円を超えるお店も少なく無く、メーカーに出すとその2~3倍にはなることも多々あります。

その反面、機械式ですので基本的に修理が出来ないということはありません。

供給が全く無い場合は部品を製作することも可能です。(その分かなり高額にはなってしまいますが)

逆にクォーツムーブメントのデメリットは回路が故障していると、その部分を交換する外に方法が無いということです。

交換部品がある限りはメンテナンスが可能ということを考えると、この時計のような少し新しい年代(とはいえ30年近く前ですが)のクォーツという選択肢も十分ありだと思います。

スタイル

無骨なケースでミリタリーテイストの文字盤ながら、ベゼルやインデックスの線が細く、スッキリした印象なので良い意味で目立ち過ぎない時計です。

オリーブグリーンのNATOストラップは定番ですし、同じNATOならネイビーも合わせやすいですね。

綺麗目のブラウンのレザーベルトなんかも良い組み合わせだと思います。

最後に

7T27やその後継ムーブメントを搭載したクロノグラフは国内外で様々なデザインで販売されており、今回の時計のような、まだまだ知られていないものの「格好良い」と思えるものは眠っています。

機械式のものと比べると手が出しやすい価格、というのも良い点です。

「ヴィンテージクロノグラフは欲しいけど、いきなり数十万円は・・・」という方には、まずクォーツクロノグラフという選択肢もありだと思います。

これからも紹介していく予定ですので、ぜひご注目下さい。

今回紹介したSUSクロノグラフの商品ページはこちら。

参考ページ
TIME SPEC: SEIKO 7A28 RAF GEN 1 CHRONOGRAPH -Worn&Wound
セイコー 7T系 クロノグラフの魅力 -泥沼時計収集メモ
Seiko Timepiece Catalog Library -Watch Hunter
Seiko 7A28 Collector’s Guide -THE SPRING BAR

 
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